AXISの鋏はなぜ?よく切れるか

日本古来の木鋏は生鉄(なまてつ)に鋼を付けるいわゆるハガネ付けで造られていますので、焼きが硬く出来ますから良く切れる、生鉄が付いているので狂いを治せる、砥ぎがしやすいなどの特徴がありました。
日本では古くは「たたら製鉄」という純度は高いが、非常にコストの掛かる製鉄法で玉鋼を製造していましたので、高価な玉鋼は少しにして安い生鉄を厚みの大部分に使う付け鋼は大変有効な製法だったのです。
ところが、近年の製鉄法ではさまざまな種類の鋼が生産されますので、用途によって最も適する鋼を選ぶことが出来るようになっています。
注)玉鋼についてはこちらから。

このAXISシリーズでは硬度の出る特殊ステンレス鋼を使って付け鋼ではない、全鋼(ぜんこう-まる鋼)で造られています。
普通の砥石ですと砥ぎにくいことはありますが、その他の点では、製造工程にも新しい技術で対応をして却って優れた能力を引き出しています。
刃付けは自動研磨機で狂いを直さなくて良いよう均一に研いでいますし、ハンドルはプラスチック成型で軽量化とコスト低減に成功しています。
シリーズの各鋏の解説では刀の部分の厚みを書いておきましたが、このシリーズの大きな特徴はこの厚みが薄いことなのです。
これだけの薄さにすることは古来からの鋼付きの製法では、厚みの6〜70%が生鉄のため強度の関係で不可能だったのですが、全鋼は焼き入れするとまるごと硬度が上がるため、薄くても強度を出すことが可能になったのです。
そして、その結果、刃を薄く、角度を鋭利に出来たことと、更に、他では出来ないような特殊な刃付けをしていますので素晴らしい切れ味になったものです。

次の写真で示す刃の角度が特に鋭利です。




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